Positron、2.3億ドルのシリーズB調達:Nvidia独占に挑むメモリチップスタートアップ

2.3億ドル投資、カタール国富ファンドが主導

  • PositronがシリーズBで2.3億ドルを調達
  • カタール投資庁(QIA)が主導投資家として参加
  • Nvidia H100比66%少ない電力で同等性能を主張

何が起きたのか?

AIチップスタートアップPositronがシリーズBラウンドで2億3千万ドルを調達した。[TechCrunch] カタール投資庁(Qatar Investment Authority)が今回のラウンドを主導した。2023年設立のこのネバダ拠点スタートアップは、昨年シリーズAで5,160万ドルを調達しており、累計調達額は3億ドルを超えた。[VentureBeat]

Positronの核心武器は高速メモリチップだ。AI推論(inference)ワークロードでメモリ帯域幅がボトルネックである点を狙った。同社によると、現在販売中のAtlasシステムはメモリ帯域幅利用率93%を達成している。一般的なGPUが10〜30%に留まるのとは対照的だ。[VentureBeat]

なぜ重要なのか?

正直なところ、Nvidia対抗を掲げるスタートアップは多かった。Groq、Cerebras、SambanoVaなど。しかしPositronが異なるのはアプローチだ。

ほとんどの競合が演算能力(compute)を強調する中、Positronはメモリに集中した。トランスフォーマーモデル推論で演算対メモリ比率がほぼ1:1である点を狙ったのだ。理論的には正しい。

個人的により注目しているのはカタールの参加だ。カタールは昨年12月に国営AI企業QAIを設立し、Brookfieldと200億ドル規模のAIインフラ・イニシアチブを発表した。[Semafor] 中東諸国がNvidia依存度を下げようとする動きと一致する。

実際の顧客もいる。CloudflareとParasailがAtlasの長期テストを実施中だ。[Gulf Times]

今後どうなるか?

Positronはこの資金で次世代チップAsimovの開発を加速する。このチップを搭載したTitanシステムは2026年発売予定だ。アクセラレータあたり2TBのメモリを搭載し、最大16兆パラメータのモデルを単一システムで実行できるという。[Gulf Times]

ただし現実的な課題もある。現在のAtlasはFPGAベースで、汎用チップであるASICより高コストだ。Asimovが予定通り出荷されて初めて本当の競争が可能になる。そしてNvidia Blackwellが既に市場に出ている状況で性能差を縮められるかが鍵だ。

よくある質問(FAQ)

Q: PositronのチップはNvidiaより本当に優れているのか?

A: 推論作業に限定して、Nvidia H100比でドルあたり3.5倍の性能、66%低い電力消費を主張している。ただしこれは同社のベンチマークだ。学習(training)では依然としてNvidiaが優位。推論と学習は要件が異なるため、用途によって選択が変わる。

Q: カタールはなぜAIチップに投資するのか?

A: 中東諸国がAI主権確保に乗り出している。カタールは200億ドル規模のAIインフラ投資を発表し、Nvidia以外の代替確保が戦略的に重要だ。米国の対中チップ輸出規制もこの動きを加速させている。

Q: Positronチップは今購入できるか?

A: Atlasシステムは現在一部のクラウド企業に供給中だ。一般企業向け販売はまだ限定的。次世代Titanシステムは2026年発売予定なので、大規模導入を検討しているなら待つ方が良いかもしれない。


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参考資料

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